会議読解力を上げて会議のプレイ品質を上げる

前職の企業でいくつかの企業の経営会議やら重役の会議やらに出席させて頂いたことがあるのだが、この会議というものが非常に難しかった記憶がある。会議読解力とでもいうべきものがあって、それのあるなしによって全く状況認識の精度が違ってきて、会議中のプレイのクオリティが変わってくる。

 

・Lv1: 会議全体で何が決定事項で、ネクストステップが何かが分かるレベル
 決める物事の粒度が組織の階層が上になればなるほど抽象的になってくるため、階層が上の会議体を理解するためには抽象的に物事を把握する能力が求められる。しっかりと抽象概念の共通認識を詰めてくれればいいものの、必ずしもそういう認識の議論が行われるというわけではない。そもそも文脈を完全にお互いに把握しあっていればあまり説明せずとも認識が擦り合っているというケースもあるし、政治的な理由やその他の理由から意図的にぼやかされる場合もあるし、単純に擦り合ってると思っていても全然擦り合っていないケースもある。そういったものをしっかりと考えた上で会議を受けてそれぞれのプレーヤーが次にどのように動かねばならないかということを把握するのは(少なくとも僕には)すぐにはできなかった。

 

・Lv2: 会議参加者の発言の意図が汲み取れるレベル
 
一人一人の頭の中がおぼろげに見えてくるとこのレベルに到達する。それぞれの人の関心は微妙にみんな異なっていて、更にどうしたいかという意図も異なっている。その違いをしっかり認識できていると会議参加者のある発言を聞いた時にも、明示的に示されないような懸念や、他の人のxxxの件への牽制であるというような意図が理解できるようになってくる。このレベルまでくるとその頭の中にある本当の懸念に対して答えるような発言をできるようになるため、会議中のプレーが非常にやりやすくなる。

 

・Lv3: 会議の事前にどのような発言が出るか大体予想がつくレベル
 会議参加者の脳内を理解する能力が高くなってくると、次に会議のシミュレーションができる段階に来る。Aさんはこの資料を見た時にxxxxの件が気になっているからxxxxのような反応をするだろうし、Bさんはこの件についてxxxxだと思っているからxxxのような反応が来るだろう、といったようなことが事前に読めるようになるのである。こうなってくるとアジェンダ設計や資料設計のレベルから会議をコントロールできるようになる

 

とはいえこの思考の枠組みも前職のコンサルティング会社側のバイアスがあり(会社の外から資料を持ち込んで議論する)、社内のプレーヤーからすると"人の頭の中を読みながら精度の高いエミュレーターを構築し、アジェンダや資料レベルから会議をコントロールしようとする"というプレイスタイルは最適ではないような気もする。権限があれば単純に自分の頭の中をいかに理解させるかという戦いになる気がするし、権限がなければもしかすると会議の以前にいかにハードコンテンツ & ソフトコミュニケーションの両面から内容を握っておくかみたいなことの方が重要になるような気もする。

大企業と違って、中小企業やスタートアップ、省庁等ではまた微妙に違ってくるのかもしれない。工学的にひもといてみたいものである。会議工学。